『これが答えだ!』

宮台真司『これが答えだ!』、朝日文庫、2002年

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 いよいよというかようやくというか、宮台を友人T(正式名称はYですが)に借りて読んでいます。これまで宮台に対しては、小谷野敦勢古浩爾の本を読んだ影響で否定的な印象(まさに先入観)がありましたが、果たしてそれが覆ったかどうか。

 結論から言えば、「おおやっぱすごいじゃない」です。これくらいモノを知っている人間にはなりたいな、と思います。勢古が展開している自己承認論とほぼ同じ話が出てきているのにもびっくり。そう、勢古が「どの問いにも答えをきれいに出しているのが逆にうさんくさい」というような言い方をしていた記憶がありますが、別にそんなことはないんじゃないかと思います。
 そりゃ世の中の難しい問題なんて「わかんない」というのが正解に決まってますが、だからといって全部「わかんない」と答えるのが誠実かといえば、そんなわけはありません。ましてやこれは出版されるものですからね。勢古はわかっていて(冗談として)揶揄したのかもしれませんが、宮台には「世の中を良くしよう」という意識が明確にありますから、こういう断定的な言い方をすることにも理由があるわけでしょう。
 そう考えると、勢古もちょっと読者に期待しすぎている気もしますし、逆にバカにしているという気もします。