うひ山ふみ

うひ山ふみ/鈴屋答問録 (岩波文庫 黄 219-1)

うひ山ふみ/鈴屋答問録 (岩波文庫 黄 219-1)

 いかに初心なればとても、学問にこころざすほどのものは、むげに小児の心のようにはあらねば、ほどほどにみづから思ひよれるすぢは、必ずあるものなり。又面々好む方と、好まぬ方とも有り、又生れつきて得たる事と、得ぬ事とも有る物なるを、好まぬ事得ぬ事をしては、同じやうにつとめても、功を得ることすくなし。又いづれのしなにもせよ、学びようの次第も一わたりの理によりて、云々してよろしと、さして教へんは、やすきことなれども、そのさして教へたるごとくにして、果してよきものならんや、又思ひの外にさてはあしき物ならんや、實にはしりがたきことなれば、これもしひては定めがたきわざにて、實はただ其人の心まかせにしてよき也。詮ずるところ学問は、ただ年月長く倦ずおこたらずして、はげみつとむるぞ肝要にて、学びやうは、いかやうにてもよかるべく、さのみかかはるまじきこと也。いかほど学びかたよくても怠りてつとめざれば、功はなし。又人々の才と不才とによりて、其功いたく異なれども、才不才は、生れつきたることなれば、力に及びがたし、されど大抵は、不才なる人といへども、おこたらずつとめだにすれば、それだけの功は有る物也。又晩学の人も、つとめはげめば、思ひの外功をなすことあり。又暇のなき人も、思ひの外、いとま多き人よりも、功をなすもの也。されば才のともしきや、学ぶ事の晩きや、暇のなきやによりて、思ひくづをれて、止ることなかれ。

数字で見る日本の100年

数字でみる日本の100年―20世紀が分かるデータブック

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おじさん、語学する

おじさん、語学する (集英社新書)

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 娘がフランス人と結婚したがために、ただ孫と話すにもフランス語を学ばなくならなくなったおじいちゃんの奮闘記。おもしろい。