『スポーツ批評宣言 あるいは運動の擁護』

 mixiのレビューより転載。よーく考えると、mixiに書いても読めない人ってたくさんいるんですよね。別に読んだからっていいことないというのはわかってますが…。でも転載するとmixiにはどっちも更新情報として載っちゃうからちょっとうるさいし…うーん。

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蓮實重彦スポーツ批評宣言 あるいは運動の擁護』、青土社、2004

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 一見インテリ風の会話だが、実はそれほど難しいことは言っていない(という意味で余計にインテリなんだが)サッカー&野球批評。

 結論から言えば、僕はこれを読んで自分がいかに「運動」を見ようとしていないかがわかった。
蓮實はスポーツにおける「知性」と「美しさ」について語るが、それらが体現するのは動きにおけるまさに一瞬のことであり、結果からは何もわからないと言うのである。
 そしてもう一つ、サッカーに関して印象的だった言葉が、「優れた選手とは、文化として始まったものを、いきなり自然によって蹂躙してしまう野蛮な存在にほかなりません」。

 これを読むと、(かの有名な)蓮實という人間のスポーツ観の向こうにある知識人観・人間観までわかってくる。それは結局、「阿呆は阿呆」というもう救いもへったくれもないもの。蓮實くらい頭のいい人間にそう言われたら黙るしかない…のではなくて、むしろ暴れるしかない、蓮實の言葉に従えば。

 最後に二つ蛇足。対談者として出てくる渡部直己の醜いこと醜いこと。蓮實に擦り寄れば寄るほど自分の株が下がることくらいわからないのか。そしてもう一人の対談者、草野進という女性は蓮實重彦による自作自演である。プロフィールまで作って、趣味の悪い。この趣味の悪さで自分の知性がまき散らす厭味を紛らわせる気にでもなっているのか、単にそういう人間なのか。