じゃがいも君

 「まったく、やんなっちゃうよ」
 「何事かね、じゃがいも君」
 「それがさ、皮をむくのがめんどうだからって、なかなか仲間入りさせてもらえないんだ」
 「仲間入りとな?」
 「うん、ぼくもたまにはあのカレールーに浸かりたいよ。玉ねぎさんは、いいよなあ」
 「もちろん、儂はカレーには欠かせない存在であるからな」
 「ぼくだって欠かせないはずなんだけど…」
 「必ずしも必要とされているわけではあるまい」
 「それって、野菜の平等に反してませんか? 野菜種差別だ!」
 「しょせん儂どもは食われるか腐れるかじゃ」
 「そりゃあ」
 「だったら、黙って食われるよう精進するよりほかあるまい」
 「…」