剽窃について 2

 以前も剽窃について書いたことがあるが、不十分なので少し付け加えたい。

多少なりともまともなレポートを書いたことのある人ならば、引用や参考文献を示す手間に煩わされた経験を少なからず持っているだろうと思う。
 と書いたが、世の中には「多少なりともまともな」ものを書く人間が必ずしも多数派ではないようだ。それが証拠に、
 ところが、インターネットの時代になって、学生はウェブ検索をかけて、ふむふむと該当個所をカット&コピーで、自分のテキスト画面に貼りつけるだけですから、その知的レベルの衰退は顕著です。
 他方、元の電子テキストが十分に練られたものであれば、そのレポートをチェックする教師は、剽窃の事実を発見することが難しくなります。教師は、学生を信頼することを前提に授業をおこなっていますので、もし、平気で剽窃をおこなう学生やその常習者がいると、たいへんこまったことになります(例:教師の側のモラル・パニックをおこして、過剰な反動を生む)。
池田光穂剽窃(ひょうせつ)について」http://www.let.kumamoto-u.ac.jp/cs/cu/030129pl.html(Jan. 22, 2005))
のように嘆く教員が少なくない(東大にも、インターネットからそのままコピー&ペーストしたレポートを提出した学生に対して、厳重に処罰する旨の掲示があった)。
 正直に言って、どうしてこういう事態が起きるのか全く理解できない。自分が書いたものではない文章を自分の署名で提出するということに対し、ぞっとするような違和感を覚える(逆方向であればさほど違和感を感じない。それはおそらく自分の書いたものにスズメの涙ほども価値を感じていないからだろう)。
 ただ、他方で、やむを得ないと思わないでもない部分がある。入試で小論文の勉強をしてきたような学生であればまだしも、高校生はまとまった量の文章を書く練習をする機会がないのが普通である。そういう学生に対し、いきなりレポートを書けというのもいささか高望みというか無理な要求ではないか。
 大学側にすれば「なんで大学でわざわざそんなことを」と言いたいところかもしれないが、どこかでそういう訓練を一から行う場を設けない限り、剽窃という手段に走る(しかない)学生が減ることはないように思う。